丸干しに関する話
今月の初めに,丸干しに関する興味深い話を新聞の読者投稿に見つけました。
記事をカバンの中に入れ,温めておいたおいたのですが,
ちょっと紹介します。
「お祝いの目刺し」
若いころ,「お父さん,誕生日祝いに何か買ってくれない」と
夫におねだりしたことがある。
「金は全部お前に渡しているだろうが。勝手に自分の好きなものを買えばいいじゃないか」
というので,私にしたら高価な指輪を買った。
指にはめて「どう」と夫に見せると,ちらっと見て少し笑っただけだった。
夫が働いたお金で,自分の誕生日祝いを自分で買ってはみたものの,
心から喜べなかった。
先日の私の誕生日,スーパーの安売り商品に目刺しがあった。
戦後の物のない時代,小学生だった私は姿形のきれいな丸干しを見て「今晩はごちそうだ」と思った。
それを思い出し,迷った末に1パック100円の目刺しを買った。
目刺しを食べながら,ふと「これを自分の誕生日のごちそうにしよう」と思った。
その晩,「おばあちゃんお誕生日おめでとう」と孫から電話をもらった。
夫はすでに,その目刺しと湯豆腐,ホウレンソウのおひたしをさかなに晩酌でほろ酔い気分になり,
「もうおれは寝るぞ」という言葉を残してベッドの中だった。
孫からの電話は,幸せそうに寝た夫と私から2人の娘へ,
さらに5人の孫へと命のつながりを思い起こさせてくれた。
なぜか心は満たされている。
1人コタツに入り,しみじみとした思いで迎えた誕生日だった。
2010年3月3日(水)朝日新聞「ひととき」(鹿児島県 主婦69歳)より引用
~ なぜか心は満たされている ~
この一文に私の内面は,ものすごく揺さぶられたのです。
幸せって,こういうところにあるもんなんだなぁ・・・・・・。
考えさせられました。
この主婦方のように,心豊かに,生きている喜びを感じられるような,
そんな生き方をしたい,
そう強く思いました。
「丸干し」という文字に惹きつけられ,何気なく読んだ投稿。
読んだ私も,とても温かい気持ちになりました。